賛否両論!?小泉進次郎氏の「育休取得」宣言をどう考えるか

parents-with-baby 働き方改革

つい先日、小泉進次郎環境大臣と滝川クリステルさんとの間に第一子が誕生しました。

それに伴い、小泉環境大臣は産後3ヶ月の間に、2週間の育休を取得することを表明しました。

日本では「現職の閣僚の育児休暇取得」は、初めてのケースです。

男性の育休取得がほとんど浸透していないこの国において、それも環境大臣という立場として、今回の表明には様々な賛否両論が巻き起こっております。

そこで、今回の小泉氏の育児休暇取得に関して、コメント、経緯、育休取得等をまとめ、最後に自分なりの考えを綴ってみました。

本人のコメント

今回の育休取得宣言に関し、小泉氏は自身のブログでコメントしています。

小泉進次郎氏のブログ
https://ameblo.jp/koizumi-shinjiro/entry-12567173956.html

コメントにもある通り、ご本人もかなりの葛藤があったようです。

また、専門家にも相談し、アドバイスを求めたそうです。

そして彼は、育休取得を決断をしました。

これまでの経緯

2019年8月7日
結婚と妻・滝川クリステルさんの妊娠を発表。

2019年8月31日
「率直に考えている」
「小泉進次郎の育休とは何が良い形か。アイデアを聴きたい」

2019年9月11日
第4次安倍再改造内閣発足囲み取材にて、
「検討していますと言っただけで、賛否両論を含めて騒ぎになるということが、日本って堅いね。古いね 」
「検討だけでこうやって盛り上がるなら、せっかくの機会ですから前向きに…」
と、育休取得を改めて示唆。

2019年11月29日
「環境省職員が育休を取りにくい環境を残したまま、(自分が)取るわけにはいかない」
(一部の報道では、このコメントに対して育休取得の取り下げを示唆するものとしているが、私個人的には環境を変えていくという決意表明にも感じる。)

2019年12月3日
「環境省の職員が働きやすい環境づくりに向けて、1つ1つ課題を解決する努力をしない中で、自分だけが取るようなことはしない」
「(11月29日の講演で)私が言った通り、自分が(育休を)取ればいいというものではない」
「環境省の働き方については、課題や改善をしないといけないことが、こんなにあるのかという面がある。環境省の職員が働きやすい環境、育休、産休、その後の復帰、復職がしやすい環境をつくりたい。自分のことだけ考えていてはだめだという思いだ」

2020年1月15日
育休取得宣言
「国会や閣議など重要な公務の時間を除いた時間の中で通算2週間育休を取得したいと考えています。」

2020年1月17日
小泉進次郎氏と滝川クリステルさんの間に第一子が誕生。

世間の反応

反対派

松井一郎(日本維新の会代表)「もう内閣の一員になったのだから、育休を言っている場合じゃなくなったのではないか」

泉健太(国民民主党政調会長)「私は否定的。 まずは国民が先。」 

 山口那津男公明党代表「環境相という重要な責任を持つ立場。よく配慮し、各方面の理解を得たうえで、最終的な判断をしてもらいたい。まずは職員が育児休暇を安んじてとれる環境を整えるのがやるべき仕事では」  

他にもインターネット上では反対意見が多数見られます。

中には、

「入閣後に育休を取るのなら、そもそもなぜ大臣を引き受けたのか」

「国会議員を辞職するべきだ」

「女性問題を隠すパフォーマンスだ」

など、厳しい声も見られます。

賛成派

菅義偉官房長官「小泉環境相の取り組みが、官民を問わない男性の育児参加促進によい影響を及ぼすことを期待したい」

森雅子法務大臣「大変嬉しいニュース」
とした上で、自身も法務省内で「男性育休100%取得」を大臣訓示などで宣言していると反応した。

また、あるインターネット上での調査では、「ママたちの8割以上が賛成」という結果が出ております。

なお、直接賛同しているわけではありませんが、男性の育休100%取得を宣言している企業も出てきています。

「男性育休100%宣言」|働き方改革ならワーク・ライフバランス
私たちは、男性社員が育児休業を100%取得できる職場づくりを目指すことを宣言します!男性が育児休業を取ることで、新しいコミュニティへの参加や、価値観のパラダイムシフトが起き、復帰した職場でのイノベーションや、生産性の高い働き方につながると共に、将来の社会保障の担い手確保となりサステナブル社会の実現にも繋がります。

環境大臣として、国会議員としての責任

日本では、現職閣僚が育休を取得するのは前例がありません。

反対派の意見の中では、大臣は「替えがきかない」として、小泉氏の育休取得を強く非難する意見もあります。

確かに、大臣は非常に大事な職務です。

ですが「変えがきかない」という点には、いささか疑問を感じます。

これまで大臣はおろか、総理大臣でさえ不祥事や失脚で辞任してコロコロ変わってきました。

それでも、何とかかんとか引き継いだ大臣たちはやってきました。

ましてや、今回は全く事情が違います。

小泉氏が育休を取得する日はあらかじめ決められ、それに向けてスケジュールやアポも調整します。

周知もされ、必要な引継ぎが為されます。

そういった最大限の努力をしながら、新しい時代の働く環境を作っていこうとしている小泉氏に、「無責任だ」と主張すること自体、ずれていると言えるでしょう。

海外の育休取得の事例

先ほども触れましたが、日本では、現職閣僚が育休を取得するのは前例がありません。

ですが、海外を見渡すと、一国のトップである首相が育休を取るケースもあります。

また、ノルウェーでは男女共取得率が90%以上、スウェーデンが80%以上、以前は低かったドイツでも2016年までに34.2%まで伸ばすことに成功しているようです。

これについての詳細は以下のサイトをご覧ください。

子育て

小泉氏本人曰く、「お風呂担当」だそうです。

しかし、新生児の子育ては、いうまでもありませんが、そんなものではありません。

例えば、2〜3時間におきの授乳。

とりわけ、夜間の授乳は眠気と孤独感が強烈に襲ってきます。

それを半分、小泉氏(夫)が担当すれば、クリステルさん(妻)は救われます。

母乳を冷凍保存し、、哺乳瓶で与えることもできます。

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お湯を沸かして、粉ミルクを溶かし、ミルクが冷めるまでに5〜10分の時間を要すします。

夜間の授乳は、小泉氏が担当する事で、妻であるクリステルさんは睡眠を確保でき、負担が大幅に軽減できます。

そして何より、出産は「命がけ」です。

命がけで戦ったクリステルさんの体は、今ボロボロの状態です。

小泉氏が本当に家族のことを考えるのであれば、そして、全てのお母さんたちの現状を理解するには、せめて育休中は、ほとんどの家事、育児を小泉氏が行うのが妥当と考えます。

現場の声(国中から聞こえる、お母さんたちの悲鳴)を、身を以て体感して欲しい。

そして、育児の本当の大変さを理解できれば、今後の小泉氏の政策やキャリアにもかなりプラスになると考えます。

小泉氏の育児休暇取得の意義

前例を作ること。

これは、「右にならえ」の国民性の日本人には、極めて有効と考えます。

民間では既に男性の育休100%取得を宣言する企業が出るなど、既に一部で会社全体での取り組みが存在します。

また、一部の県知事や市長が育休を取得したケースもあります。

小泉氏は今回、現職閣僚という、極めて国のトップに近い立場としての実績を作ることになります。

働き方改革を強力に推し進める政府にとっては、絶好のモデルケースとなるでしょう。

そして、彼が今回の育休取得に伴って行うべき最重要課題は、「誰かが突然明日いなくなっても、普通に職場が回る」環境を作り、それを世間に浸透させる事だと考えます。

これはある意味、彼にしかできない、重要課題と言えるでしょう。

環境大臣の仕事は、はっきり言って他にもできる政治家はいます。

ですが、今回の育休取得を通じて、世間の空気を変える事は、大きな影響力を持つ小泉氏にしかできない事です。

「誰かがいないと仕事が回らない。」

この状況は、休みを取る時や引き継ぎ時に必ず誰かが辛い思いをします。

だから、自分が休みづらくなるのです。

だから、他の人に休んで欲しくなくなるのです。

属人化した仕事をなくし、誰かが休んでも回る環境づくりを浸透させる事。

これこそが、彼の育休取得の最も大きな意義ではないでしょうか。

最後に

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そもそも、自分の子供を育てるために休暇を取るだけで、なぜこれほど批判の声が挙がってくるのでしょうか?

普通の企業でもそうなのですが、「この人がいないと職場が回らない」という状況は、重要と見られている本人も、その周りの人間も辛くなります。

それは、仕事が「属人化」している事が原因です。

簡単にいうと、「彼/彼女がいないと仕事が回らない」ということです。

知識やノウハウが共有されておらず、同じ職場にいてもその人の仕事がカバーできない。

そんな状態だと、「休みが取りづらい」「休んだ時に他のチームメイトが非常に大変」という状況になってしまいます。

育休を始め、休暇取得に大きなハードルを感じる職場はごまんとあります。

気楽に休暇を取得できる空気があるのは、まだほんの一握りの企業のみです。

今回の小泉氏の育休取得が、この国に新しい風を吹かせてくれると期待しています。

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